パールネックレスの珠足し
お母さまから譲り受けた真珠のネックレスについて、お問い合わせを頂きました。
その内容の一部を引用させて頂きます。
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希望としては真珠の珠を増やしこれからも使っていきたいと思っています。
真珠の長さは今約39cmです。
直径は7mm~8mmだと思います。
同じぐらいの真珠を6個増やしたいと思っています。
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これに対して、返信した内容の一部を紹介します。
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アコヤ真珠の珠足し加工は対応しておりました。
ただ、今年になり取引先より加工を断られることがありました。
糸替えの加工は問題ないのですが、端数の真珠を確保できるか確認する必要があります。
現状、市場在庫も減少傾向にあり、珠合わせができない場合もあります。
お手持ちの真珠よりも質や色が異なる可能性がありますが、その際には目立たないように組むことは可能です。
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この時は、未確定要素が強かったので、これまで把握している現状をお伝えしました。
それからお時間を頂き、後日取引先での確認を行いました。
珠足し加工について
結論から言いますと、取引先との打ち合わせでも、未確定要素を完全に解消するまでには至りませんでした。
そのため、万が一に備えて対応ができる策も用意しました。
最終的に、加工について返信した内容の一部がこちら
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以前よりも数量や品質の面で珠合わせが難しい状況でした。
ただ、お手持ちのあこや真珠ネックレス(7m~8m)に関しては、ある程度の数量はあるとのことです。
珠足し加工に関しては、お受けすることができると判断しました。
品質面では選定しますが、若干の色系(ピンク・グリーン・ホワイト)の違いや表面の(天然)キズ、えくぼなどある珠も使用する場合がありますので、ご了承ください。
また、お預かり品とあまりにも珠合わせに無理があると判断した場合には、加工を中断しお断りすることがあります。
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なお、この際に加工のお見積もり金額をお伝えしております。
珠合わせ
後日ご来店して頂き、あこや真珠ネックレスをお預かりさせて頂きました。
珠を測定したところ、8.0mm~7.5mmでした。
珠合わせをした結果報告の内容の一部がこちら
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本日、珠足しの6個を確保できましたので、加工を進行しました。
若干色は異なるため、エンド(金具)に3個ずつ組み込むことに致しました。
表面のキズやえくぼなども少なく、テリのある質の良い珠が揃い、安堵しております。
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同じあこや真珠でも、今と昔では珠質が異なります。
技術というよりも、真珠が育つ養殖環境から異なるからです。
選定の段階では、大量に入った袋の中にある珠は、真円ではなく変形や巻きの甘いもの、大きなエクボなど…
それらを外すと、数十個という状況でしたが品質は満足できるもので、その中から選りすぐりました。
写真は選定後(加工前)に撮影したものです。
やはり色が異なるのが分かると思いますが、外周の色は下地の色と干渉します。
つまり、肌や服といった身につけた状態では色の同調が強くなります。
また、テリが揃っていることも、(珠足ししていること)見分けにくいポイントとなっています。
よくよく見ればわかるというレベルなので、知らない人がパッと見ても違和感はないと思います。
とても喜んでくださりました
ご依頼者さまも、「真珠の珠を増やすことができるのか?」という不安があったそうです。
地元にも宝石店はあるそうですが、御徒町にもご縁があったとのことで、今回ご依頼してくださりました。
真珠ネックレスの珠足しは、糸替えに比べれば需要は少ないです。
しかし、真珠のネックレスは、大切な人から譲り受けることは多いです。
「これからも使っていきたい。」
という想いにある意味寄り添え、橋渡しする加工が「真珠の珠足し」だと思うのです。
とても喜んでくださる姿を見ると、本当にお役立てて良かったと感じます。
遠方よりお越しくださり、またご依頼して頂きまして、誠にありがとうございました。